「ゾフルーザ」耐性ウイルス

 

 

 昨日働き過ぎたというか、管理機(耕耘機)を使いすぎたらしく、昨夜から手のひらが腫れ痒みが出ている。手のひらにまで圧迫性のアレルギーが出るとは思わなかった。さらに、両手首に何とも言えない痛みが出ている。症状は左手の方が酷く右手より1割程大きくなった。だからといって何をするわけではない。ありゃ大きくなった、左手がみっともないじゃなくミットみたいだ、と独り言を言いながら、タマネギに追肥をした後はずっと草取りをしていた。代わり映えのしない毎日である。

 

 世の中ではインフルエンザが流行っているらしい。インフルエンザの新薬「ゾフルーザ」について、抵抗性のウイルスが見つかったと云う報道がなされている。

 ちょっとばかり「夢のインフルエンザ薬「ゾフルーザ」 薬が効きにくくなる耐性ウイルス発見」という記事から引用するが,その記事にはこんな風にかいてある。

 

国立感染症研究所は昨年12月、インフルエンザの集団感染があった横浜市の2カ所の小学校で、6〜7歳の児童4人から採取したウイルスの検査を実施。4人のうち1人は、検査の二日前にタミフル、残る3人は、検査の前後3日以内にゾフルーザを投与されていた。4人のウイルスを遺伝子解析したところ、ゾフルーザを投与された後に検査を受けた児童2人から採取したウイルスでは、ウイルスが持つタンパク質の特定のアミノ酸に、薬が効きにくくなる「耐性変異」が起こっていることが明らかになった。この2人のウイルスは異なる遺伝子配列を持っていることから、ゾフルーザを投与したことで、それぞれの患者の体内で起こった可能性が高いという。」
 

 この記事から判断すると、「ゾフルーザを投与すると患者の体内で耐性変異(突然変異)が起こった」としか読めない。では、ゾフルーザは突然変異誘発剤であるのか?ということで、

 記事の原報である国立感染症研究所のサイトで対応する部分を見てみると、

  

「2株のPA I38T耐性変異ウイルスは異なる遺伝子配列を持っていたため、ヒトからヒトへの感染伝播ではなく、それぞれの患者の体内でバロキサビルの投与により選択的に増殖した可能性が示された。

PA I38T耐性変異ウイルスとは、ウイルスの持つRNAポリメラーゼの一つのサブユニットタンパク質であるPAの38番目のアミノ酸に変異によって感受性が低下した=薬が効かなくなったウイルスを云う。ゾルフーザはバロキサビルの商品名:括弧内は筆者が加筆)

となっている。

 

 ここには、「患者の体内でバロキサビルの投与により感受性の低い株が選択的に増殖した」と書いてあるだけで、突然変異を誘起したとは書いていない。要するに、いま流行しているインフルエンザウイルスのなかに、ゾフルーザに感受性の株と感受性の低い(耐性を持つ)株があり、ゾフルーザの投与で非感受性株が選抜された例が発見されたに過ぎない。初めから流行しているインフルエンザウイルスには、色々な性質を持ったものが混在していたという至極当たり前の話になってしまった。

 そりゃーそうだろ。インフルエンザウイルスを吸い込んで、発病する人もいれば発病しない人もいる。腐ったのもを食べて、なんともない奴もいれば、下痢する奴もいる。ウイルスがSNSを使っていれば、せっかく感染しても増殖をさせないホモサピエンスがいると云う情報を流すだろうな。