演歌の在庫

 日曜日、午前10時過ぎから住んでいる地域の人達と新年会であった。新年と云うには少し時間が経ちすぎた気がしないこともないが、現在の都会生活ではあり得ないような親睦会である。知っていたはずの人の思いがけない一面が見られる機会であるが、これは同じく私も何らかの一面を見られていることを意味する。毎日、ちょっと無精で不器用な農作業を見られているわけだから、もう何も隠すものはないと、ひたすら自然体で酒を飲み、疲れたら横になる。

 昨日からの雪が残っていて、きょうは農作業などできそうもない。皆、仕事をサボって飲んでいるのではないという罪悪感フリーの状況になったことを喜んでいる。6時間続いた一次会の後、カラオケボックスへと拉致された。実はカラオケボックスに行くのは初めてである。勿論、スナックやクラブへ行きカラオケで歌ったことはあるのだが、歌うのがメインの箱はちょっと以上に雰囲気が違った。まず音量が凄い、歌うのが目的なのだから歌う人の入れ込み方が違う。入店してくる人達のレベルも高い。カラオケで歌唱指導している人が生徒さん(といっても歳は色々)をつれて入店してくる。色々な人間模様が見られただけでなく、女性の観察眼の鋭さがとても新鮮だった。まだ、人生勉強が足りないようだ。

 ただ少しだけ困ったのは歌われる歌が、演歌であるか、艶歌であるか、怨歌であるかの分類は別として、まず100%エン歌である。17歳でビートルズの洗礼を受け、30歳ころまでは邦楽を聞くことは殆どなかった。その後、10年程は仕事に追われただけでなく、TV番組のくだらなさに腹を立ててTVを捨て去って今日に至っている。現在はYoutubeで作業用のJazz を聞いているくらいだ。人生で演歌との出会いが殆どなかった。嫌いではないのだが、感情移入性の強い演歌はBGMにすると仕事が捗らない。持っている鉛筆の芯が折れそうになる。従ってVocal曲であれば、聞き取れない英語の曲の方がBGMには適している。つまり、困ったことに歌えと云われても雰囲気に合わせて歌える持ち歌がない。

 2〜3曲歌うともうネタ切れ、来年までに他の人と被らない歌の在庫を増やしておく必要がありそうだ。加齢故に歌詞まで覚えるのは無理だが、これは画面に出るので何とかなるだろう。とすれば練習時間を如何に捻出するかが問題にある。まあ、イヤホンを付けて山の畑で歌うしかないだろう。でも、作業中の音は使っている機器の状況判断に不可欠である。イヤホンを付けるとしても片耳ということになるだろう。そうすると音源はステレオではなくモノラルでないと困る。携帯はガラケーである。誰か良い方法を教えてください。