大雪高嶺ヒカゲ

 このブログを書いていたWordPressから新しいバージョンにアップしろアップしろと云ってくるので、何気なくバージョンアップボタンを押したのだが、バージョンアップではなくフルモデルチェンジであった。何をどうして良いか、まだ手探りである。という理由もあって、ブログ更新は遅れ気味となっている。

 木を切って、草を刈って、燃やして、熾火にサツマイモを入れて焼き芋を楽しむという何の変哲もない日が続いている。老中の日々として、左程不満はないのだが、学問的刺激が一寸だけ少ない。少し前、基本的な代謝系である解糖系とTCA回路、ペントースリン酸経路を描いてみたら、ペントースリン酸経路の一部を忘れていた。人間とは忘れる生き物である。そんなこともあって、秘密のプライベートプロジェクトを始めてしまった。まだ内緒!うまく行くかどうかは分からないが、何もしないよりましである。おかげで夜更かしがさらに酷くなっている。寝るのは2時過ぎ、従って畑への出勤時間が周りの人よりかなり遅れる。反省、反省、三省堂の毎日である。

 秋口に植えていた秋野菜が収獲期を迎えている。今年はダイコンが豊作らしき、長さが60cmを超すような大物でも100円でしか売れない。手数料を引かれると80円、種代と肥料代と諸々の経費を引くと実収入は60円を切りそうである。その上売れるのは一日当たり5〜6本、農家は厳しい。もちろん他の野菜も出荷してはいる。ワケギ、ワサビ菜、からし菜、など。でも残念なことに、どれも売れ行きは同程度、一日1000円の収入はなかなか達成できない。

 景気の悪い話を年初に始めるのは止めて、もう少し明るい話題をと思うのだが、なかなか明るい話は存在しない。馬鹿な話というより笑える話でもと考え、昆虫の名前の話題でも紹介しよう。良くある話だが、次々と新種が見つかるが故に、虫や植物の名前には矛盾を含むものが多い。トゲトゲという虫がいる。ハムシの仲間だ。現物を見れば直ぐに分かるほど、身体からトゲが生えている。ところがバラにトゲのないバラがあるように、トゲトゲにもトゲのない変種が存在する。名前はトゲナシトゲトゲ、この名前、虫そのもので面白くも可笑しくもない。当たり前である。しかしである。このトゲナシトゲトゲの仲間にトゲのあるもの見つかったわけだ。名前はトゲアリトゲナシトゲトゲ、おぬしのトゲはあるやなしやと尋ねたい気分である。

 昔、名前は出せないが天然記念物であるタイセツタカネヒカゲという、北海道の大雪山日高山脈の高山地帯にいるにいる蝶を捕りに行った人を知っている。もちろん、採集禁止の蝶であるが、それ故に捕りたいという願望を持つ人は少なからず存在する。法律があるからそれは法令違反であることは間違いないのだが、昆虫は虫キチが少々捕ったからといって減ったり絶滅したりすることはまずない。繁殖地の開発・造成などのほうが、はるかに影響は大きい。でもまあ違反は違反である。それで結果はどうだったか、敢えて聞かなかった。武士の情けというものだ。ただ、彼の中でタイセツタカネヒカゲという蝶は、大切で高値なヒカゲ蝶であったことは間違いない。