不精者の方が長持ち

 不精者の盆働き、怠け者の節句働きなどという言葉があるが、私に良く当てはまる。普段から真面目に働いていないという罪の意識が、休みの日になると働け働けと呼びかけるのである。休日に働きたくなる理由はもう一つある。昔から胃腸が弱かった。だらけた休日が二日も続くと胃の調子が悪くなり、口内炎が発生するのである。正月明けやゴールデンウィークの後など、地獄のような日々だった。唇の裏側や頬の内側にできた口内炎は何とか我慢できるのだが、舌にできた口内炎(舌炎の方が正しいか?)、それも舌の下側にできた奴はとてつもなく痛い。唾が飲み込めないほど痛い。神経を使うデスクワークが続いていた現役時代、月に2回くらいは口内炎に悩まされていた。(お前が気を使っていたなんて、そりゃないだろうという外野の声がないわけではないが、本人としては極めて繊細な神経の持ち主であると自認している)仕事を辞めて肉体労働を始めたら、お金と一緒に口内炎もどこかへ行ってしまった。ここ5年ほどご無沙汰である。

 というわけで、2日までは自重していた野良働きを3日から再開した。少々人の目を気にして誰も来ない山のクリ畑に行ったのだが、同じ気質の人は結構いるらしく、何人かの知った顔がニコニコと働いていた。家の近くにせにゃん仕事がないわけじゃないが、あんまり音を立てると気が引けるなどと云いながら、チェーンソーを響かせている。嬉しいことに、私もここでは少数派ではないようだ。

 更新が遅れているが、山の隣の畑の持ち主であるKさんが脳内出血で倒れた。私より5〜6歳若いはずである。定年後、かなり荒れていた持山を2年ほどかけて元に戻してブルーベリーとフェイジョアを植え、今年から収獲できると喜んでいた。すごい働き者だった。正月は3日から、フェイジョア畑の周囲に防獣フェンスを張っていた。倒れたのが自宅で病院への搬送が早かったので回復する可能性はありそうだが、山仕事ができるまでになるかどうかは分からないという。何だか身につまされる話である。お酒が好きで少々肥満気味だったので、一寸控えた方が良いよなどと笑ってはなしていたのだが、朝夕の冷え込みが堪えたのかもしれない。会って元気づけたいと思うのだが、面会謝絶が続いており会えるのは少し先になりそうである。我が家は、薪ストーブのおかげで朝起きたときでも15度を下回ることは殆どない。さらにこの季節、外気温が上がる10時以降でないと外には出ないことが多い。不精者の方が長持ちするのかもしれない。